決済フローを強化する Google Pay の新機能

2025年5月21日
Jose Ugia Developer Relations Engineer

Google I/O 2025 にて、よりスムーズで安全かつ成功率の高いご購入手続きのエクスペリエンスを実現するための Google Pay API の各種アップデートを発表しました。コンバージョン率の向上、新たな決済シナリオへの対応、セキュリティの強化、統合プロセスの簡素化など、さまざまなニーズに対応する新機能をご用意しています。ここでは、デベロッパーの皆様に知っていただきたい主な発表内容をご紹介します。


ご購入手続きのエクスペリエンスとコンバージョン率の向上

Android WebView における Google Pay 対応

ビッグニュースです!Chrome v137 以降、ユーザーは Android WebView 内でも Google Pay をシームレスにご利用いただけるようになり、Android ネイティブのエクスペリエンスおよび Google ウォレットの端末トークンにアクセス可能になります。アプリのマニフェストで PaymentRequest を有効にするだけで、高品質かつ安全な決済手段によるアプリ内ブラウザでのご購入手続きに対応できます。詳しくは統合ガイドをご参照ください。

図 1:Google Pay を使用して支払いを完了する、Android の WebView 経由のご購入手続きフローの一例

モダンなご購入手続きフローを実現する、より柔軟な API

進化を続ける決済エコシステムに対応するため、Google Pay API の改善を導入しました。以下は、特に注目すべきアップデートの一部です。

  • Google Pay の支払いシートでは、より豊かなカード アートとカード名が表示されるようになり、ユーザーが希望するカードをより迅速に選択できるようになりました。また、支払いシートはダーク モードにも対応しており、アプリケーションとの一体感が向上しています。
Google Pay payment sheet
図 2:ダーク モード版とライト モード版の Google Pay 支払いシートを示すスクリーンショット。
  • 昨年の成功を踏まえ、ウェブ向け createButton API にさらなるカスタマイズオプションが追加され、UI により適した形でご利用いただけるようになりました(ボーダーの表示/非表示、ボタンテキストの選択肢追加など)。これにより、カード情報を事前に表示して販売促進を支援し続けます。

  • 決済ボタンを使用せずにカード識別情報を表示する必要がありますか?このユースケースに対応するため新しい API の提供を今後数か月以内に開始する予定です。
list selector
図 3:Payment Metadata API を使用し、リスト セレクタ経由で Google Pay を提供する例
  • Google Pay Online API において、販売者起点のトランザクション(MIT)(サブスクリプション、自動の再読み込み、後払いなど)への対応を追加します。これには、ユーザーに情報を提供するための支払いシート上の詳細表示、端末を変更しても継続利用できる決済のための端末非依存トークン、およびカード情報の変更に関するライフサイクル通知が含まれます。


デベロッパー エクスペリエンスの効率化

Google Pay API の統合、テスト、保守をより簡単にすることに注力しています。以下は、統合体験を向上させる主なアップデートです。

  • テストがさらに簡単になりました。テスト カード スイートが強化されTEST 環境を使用する際、支払いシート内において、ご利用の PSP に対応した通常カード、トークン化カード、デビット カードなどの関連テスト カードが直接表示されるようになりました。

  • Android での統合のデバッグがより迅速に行えるようになりました。ビルド時にはより詳細なエラー ログが出力されるため、ロジックの修正が容易になり、実行時には例外やエラーコードが詳細に提供されます。統合時にエラーが発生した場合は、トラブルシューティング ガイドをご参照ください。
detailed error messages
図 4:Logcat やデバッガーを通じて表示されるようになったより詳細なエラー メッセージ

  • 新たに公開された Google Pay API ステータス ダッシュボード を活用することで、Google Pay API の稼働状況を常に把握できます。このダッシュボードでは、CreateButton、IsReadyToPay、LoadPaymentData などの主要 API をリアルタイムで監視しています。API の稼働状況(昨年の稼働率は 99.99%)を確認できるほか、インシデントの最新情報も即時に取得可能です。
Google Pay API Status Dashboard
図 5:Google Pay API ステータス ダッシュボードには、サービスの稼働状況およびヘルス情報が表示。

セキュリティとリスク管理の強化

セキュリティと不正防止は、当社のすべての取り組みの中核をなすものです。Google Pay を導入することで、ご購入手続きフォームのセキュリティが強化されます。本分野に関する最新のアップデートは以下のとおりです。

  • よりスマートな不正検知:最新のモデルにより、決済時の不正行為を大幅に低減できます。さらに、Google Pay の&ウォレット コンソール を通じてチャージバック データをアップロードすることで、検知精度のさらなるチューニングにご協力いただけます。

  • 組み込み型 ID 検証:Google Pay は、不審なトランザクションに対して自動的に本人確認チャレンジを実行できます。この機能は、本日よりご利用可能で、コードを一行も書くことなく導入できます。

  • 今後数か月以内に、API 応答により詳細なリスク情報を追加し、リスク判断における柔軟性と制御性を高める予定です。なお、Google Pay による認証および不正検知はあくまで補完的なものであり、既存のリスク管理プロセスの代替とはなりませんのでご留意ください。


最新の Google Pay API アップデートを調べる

今年の Google I/O では、コンバージョン率の向上、セキュリティの強化、より多様な決済機能、開発プロセスの円滑化といった具体的なメリットに焦点を当てた、Google Pay の大幅な進化が発表されました。更新されたドキュメントのご参照、新しいテスト ツールの活用、そしてこれらの機能を駆使して、より優れた決済エクスペリエンスの構築にお役立てください。

詳しくは以下の資料をご覧ください。

1: 統合ガイドをご参照の上、WebView で Google Pay を使用する設定を開始してください

2: ドキュメント内の最新のテスト カード スイート ページをご参照ください

3: 新しいデベロッパー向けリソースを活用します

4: Google Pay API ステータス ダッシュボードをブックマークして、Google Pay API のステータスに関する最新情報や、発生しうるインシデントに関するインサイトを取得してください


この発表と Google I/O 2025 のすべての最新情報は、5 月 22 日以降に io.google でご覧いただけます。